renewroの「動かないトレーニング」を実施
北陽高校女子バスケ部でrenewro実践!
メンタルの不安定さによるパフォーマンス低下を「動かないトレーニング」で改善!!
プロジェクトの概要
関西大学北陽高校の女子バスケットボール部の部員の皆さんを対象に「メンタルの不安定さによる部活生のパフォーマンス低下を解決しよう」というテーマで、ミズノ社協力のもとrenewroの「動かないトレーニング」を実施しました。
※このプロジェクトは、関西大学北陽高等学校の学生と企業が共に、明確な答えのない社会問題への探求学習を通して、これからの社会で生きる力を育む実践的なPBL(project based learning)活動「刀プロジェクト」の一環として行われました。
「攻めの場面で逃げてしまう」などの課題
女子バスケ部では、「シュートを打つべき攻めの場面で、ついパス回しを選択してしまうこと」などが課題に挙げられていました。顧問の先生によれば、選手に自信がなかったり、自分がミスしてチームに迷惑をかけたくなかったりという思いが背景にあるのではないかとのことでした。
renewroの「動かないトレーニング」実践
この課題解決に向けて、①チーム診断、②VRトレーニング、③1on1コーチング、④LINEトレーニング、⑤効果測定の4つの手順でプログラムを実践。
- チーム診断
- メンバーの心理行動特性やメンバー間の関係性を可視化して、データ分析からチームの課題を抽出。
- VRトレーニング
- プレー中やメンバー間の人間関係における「過緊張」により、判断や身体反応のスピードに影響が生じます。これは「ストレスに対して自分を守るための無自覚な脳内の防衛反応」が理由です。この過緊張を軽減するVRトレーニングを、各練習前、5日間にわたり約10分間ずつ行いました。
- 1on1コーチング
- 特に過緊張の強いメンバーに対し、MILOQSの専門コーチが1on1コーチングを行いました。
- LINEでのトレーニング
- 脳内反応を変えるトレーニングは、いわば「脳の筋トレ」。LINEのチャットボットが配信する毎日のメッセージに従って、トレーニングを継続して行いました。
- 効果測定
- 約3週間のトレーニング期間終了後、チーム診断で行った測定を再度行い、プログラムの効果を確認しました。
結果として、全員のメンタル不安定さ尺度が改善
メンタルコンディションの変化を測定して、トレーニングの効果を評価したところ、下記のような評価を確認することができました。
プログラム全参加者のメンタルの不安定さを示す尺度得点が改善
特に重要な「不安傾向度」に統計的な有意な低下を確認
プログラムを実施したことで「不安傾向度」が下がりました。
「不安傾向度」が高いと、プレー面で下記のような影響が考えられます。
- メンタル面:
- 原因が分からないが、不安を感じやすい
- ものごとが上手くいくと思えなくなる(自信喪失)
- 人からの言葉を、嫌味や否定的に捉えやすくなる
- 身体面:
- 交感神経が緊張し、身体がこわばる、血流が悪くなる、冷える、痛みが生じる
- 元気がなくなり、眠りが浅くなり、食欲がなくなる(不健康)
- 不注意がおこりやすくなり、怪我もしやすくなる
- プレー面:
- 判断が遅くなり、身体が思うように動かない
- 失敗やミスを恐れて、プレーが消極的になる
- 本番(試合)で過度に緊張して失敗する
以下のBefore/Afterの図を見ると、自己イメージ感覚やチームからの支援感、自己抑制度が改善している様子がが見てとれます。
コーチングを実施したメンバーの「自信度」・「主体性」が高まる
プログラムを実施したことで、自信度が高まる、主体性が高まる変化が確認されました。
「自信度」「主体性」が低いと、プレー面で下記のような影響が考えられます。
- 「自信度」が低いと:
- 何か問題があると、乗り越えられると思えない
- 不安になる
- 身体が緊張し、免疫がさがる(不健康)
- 「主体性」が低いと:
- 何か問題があっても、人のせい、周りのせいと思って向き合えない(問題が解決されないまま)
- 自分らしさを失い、人から言われるままになる
- 諦めてしまう(成長できない)
- プレー面:
- 消極的になり、人任せになってしまう
- 判断が遅く、身体が思うように動かない
- チームの勝ちに向けて意欲がなくなる
以下のBefore/Afterの図を見ると、自信や主体性の高まりの変化が見てとれます。
今後に向けて
今回は短期間プログラムでしたのでパフォーマンスの変化までは確認できていませんが、同様のプログラムを実施した女子アイスホッケークラブチームでは、ゴール数やアシスト数などが改善しました。北陽高校女子バスケ部でも、今後のパフォーマンスの変化に期待です。
北陽高校のプロジェクトメンバーからは、「別のチームスポーツでも活用し、選手のストレスを軽減させたい」、「ストレスでクラブや部活を辞めたいと感じる人に実施し、考え直す機会を持とうと思う」、「不要な緊張をせずのびのびとプレーができ、日本のスポーツの発展に寄与する可能性を感じた」など、プログラムの活用法にアイディアを頂きました。